徹底した透析液水質管理
近年、透析治療を行う上で、透析液水質管理は 必要不可欠なものとなっております。透析治療に おいては、ダイアライザを介し、血液と透析液と が接触します。透析液の水質の状態が悪ければ、その影響は患者様に直結することとなってしまいます。平成22年度の診療報酬改定で「透析液水質確 保加算」が新設されました。さらに平成24年度 からは、on-lineHDFが認可された背景から、今度は「透析液水質確保加算2」という項目が新設され、水質に関してさらに厳しい管理が求められ ようになりました。当クリニックでは、申請を行い厚生労働省から認可をうけ「透析液水質確保 加算2」の請求が出来る水質を、開業時より担保し続けております。 我々臨床工学部としては、最高基準の水質管理を行うことを開業時からの目標としております。 その為に、透析液製造工程に関わる全ての流路、すなわち、RO装置から始まり、溶解装置、供給装置、そして末端のコンソールまで、システマ ックな日常管理が行えるような設計を可能としております。また、透析液を供給する配管の材質、および形状の選択や全配管への完全二段階薬液洗浄、大型ETRFの設置、コンソールへの二重ETRF装着、各種最新清浄化部品の採用等、様々な工夫を施した清浄化システムを導入しております。 析液清浄化管理のモニタリングを行う為に、透析液を採取するサンプリングポイントを設け、 毎月水質検査を行っております。水質管理専用の検査を受け、月2回エンドトキシン値の測定および生菌数の培養を行い、さらに、年間を通して全台のコンソールで検査を行い、徹底した水質管理を行っております。また、それらの結果に対する対策等を協議する場として、透析液清浄化安全管理者を中心としたチーム「医療機器安全管理委員会」を設置。毎月1回委員会を開催し、過去の水質管理の状態を振り返りつつ、今後の方針を打ち出しております、ただし我々だけでは解決できない問題も当然考えられる為、その際はメー カーである第3者を交え協議し、治療に影響がないよう早期に対策を取っております。以上のような活動の結果、開業時から現在に至るまで、透析液水質管理基準の1つである(社) 日本臨床工学技士会が推奨とする「透析液清浄化ガイドライン(ver.2.00)」という大変厳しいガイドラインの目標値を下回る程の水質を保てております。
水処理装置(RO装置)…東レ社製TW-HI使用
水道水中に含まれる不純物の除去を逆浸透により行い、純度の高いRO水を精製する装置です。またRO膜を保護するため活性炭フィルター等を使用することにより水道水中のクロラミンや遊離塩素を除去し、より確実な透析液の清浄化を実現しています。
洗浄・消毒法
当施設では、透析機器や供給ラインの効果的な洗浄・消毒を行う為に次亜塩素酸ナトリウム活性水 (塩素系機能水) 使用による消毒方法を用いています。次亜塩素酸ナトリウム活性水は、強力な消毒効果によりエンドトキシン濃度を低レベルに抑える事ができます。また、低濃度薬液の為、金属部分の錆の発生も低減し、排水処理への負担も軽減され、環境にも優しく使用可能となっています。
※次亜塩素酸ナトリウム活性水とは・・・
次亜塩素酸ナトリウムと酢酸を混合したpH5~6の酸性よりの低濃度薬液。枯草菌(芽胞菌)やノロウィルスにも強力な殺菌効果がある。
低濃度で強力な消毒効果があるため病院の手洗いの消毒薬等にも使用されています。
水質管理室
透析液の清浄化を図るため、当施設には、外部と隔離した管理室があります。
管理室では、エンドトキシン測定器 (トキシノメーター)等を用い、透析清浄化ガイドラインに基づいて、RO水(透析液)のチェックを毎月行っています。 また、水処理装置で処理しきれない微量のエンドトキシンの除去を行うため、透析監視装置全台にエンドトキシンカットフィルター
(微粒子濾過フィルター)を設置し、二重にフィルターをかける事により透析液(RO水)の清浄化に万全を期しています。